日本のごみ処理システムの実情 ~サーマルリサイクル・CCUSについて(後編)~
前編では、日本がなぜ欧米諸国に比べてリサイクル率が低いのか、サーマルリサイクルとどんなメリット・デメリットがあるのかや、回収ルールの違いについてECORACYなりに考えてみましたが、今回は日本政府が技術開発を進めている「CO2のリサイクル:CCUS」に関してまとめてみました。
CCUSとは?CO2をリサイクルする!
CCUSを一言で表すと「CO2のリサイクル」で、熱と同様にCO2が有効活用できます!火力発電所などから排出されるCO2はそのまま大気中に放出されると温暖化を促進してしまうため、資源として集めて有効活用・貯留しようという考え方です。
(環境省 地球環境局「環境省CCUS事業の概要」より抜粋)
CO2を集めるには、アルカリ性の溶液で他の物質から分離させる方法や、CO2を吸着する物質を使って回収する方法があります。地層の奥深くに貯留することで、CO2が大気中で温室効果をもたらすのを防ぐほか、地層の中の圧力を高めて原油の採取効率を上げることに繋がります。
CO2の使い道は?
CO2を有効利用としては、メタンやエタノールを合成して工場などの燃料にする方法があります。化石燃料の代替になるので、資源の節約や最終的なCO2排出の削減になります。
また、CO2は植物の光合成に使われる「資源」です。通常排ガスにはCO2以外の不純物が多く含まれていますが、東芝の技術等によって食用の植物栽培にも使用できる純度のCO2が生成できるようになり、トマト農園などで使われています。「CO2施肥効果」といって、CO2濃度が上がると植物の光合成が促進されて成長が早まるそうです。不向きな種類もあるので、事前に調査したうえで導入されています。
例えば工場やごみ処理施設で何かを燃やしたとき、その熱はサーマルリサイクル、そのCO2はCCUSによって有効活用できたらすごいですよね!排出する物質やエネルギーをゼロに近づけつつ、このようなリサイクル技術も活用することが持続可能な社会の実現を目指す過程で非常に大切だといえます。
ただ、先述したようにサーマルリサイクルがリサイクルとして認められていない現状もあります。サーマルリサイクルによるリサイクル率だけを見て満足するのではなく、リサイクルの実態と制度を根本的に理解することが大切です。
参考資料:「環境省CCUS事業の概要」 環境省 地球環境局 2019年3月5日
http://www.env.go.jp/earth/ccs/ccus-kaigi/1-2_MOE_CCUS_gaiyo.pdf
「農業におけるCO2の利用(CCU)の推進」茨城大学 地球変動適応科学研究機関 堅田 元喜 2020年1月29日
https://cigs.canon/event/report/uploads/pdf/20200129_Katata_presentation.pdf
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