ZEBって何?ネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは?

ZEBって何?ネット・ゼロ・エネルギー・ビルとは?

ECORACYでは、以前に「これからは日本の標準に?新しい住まいのカタチ「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」って何?」という記事を書かせて頂きましたが、

・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=ZEH
・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル=ZEB

ということで戸建てなのか、ビルなのかの違いですね。しかしながら、ビルは業務用として使用され、家庭用の戸建てとは違った観点での対策も必要になってきます。

そこで、今回は、日本のビルにおける環境問題について掘り下げていき、海外のネット・ゼロ・エネルギー・ビルの状況にも触れながら、ZEBへの理解をより深めていきたいと思います。

ビルの電力消費が顕著に増加している

資源エネルギー庁総合政策課の出した「平成26年度(2014年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」によると、日本のエネルギー消費は、運輸部門、家庭部門、企業・事業所部門で分けられ、企業・事業所部門が約62.7%を占めています。

要は、オフィスビル、小売店舗、病院、学校等などはエネルギー消費の割合が高く、企業・事業所部門でいかに省エネを行っていくかというのが大切になるんです。

ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの定義

ネット・ゼロ・エネルギー・ビルは、

・室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現する
・再生可能エネルギーの導入により、エネルギー自立度を極力高める
・年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指す建築物

という大きな定義があります。ネット・ゼロ・エネルギー・ビルはZEBと呼ばれますが、ZEBから派生して、Nearly ZEB、ZEB Readyという言葉も誕生しています。

Nearly ZEB(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)

ZEBに限りなく近い建築物として、正味で75%以上省エネを達成したビルのことを指します。

ZEB Ready(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル・レディ)

ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物を指します。一般的な建物(リファレンスビル)と比較してエネルギー消費量が50%以下のビルになります。

ネット・ゼロ・エネルギー・ビルは、サミットを発端に展開が広がりを見せた

ZEBが世界的に歩み始めるきっかけになったのは、 2008 年の洞爺湖サミットです。
洞爺湖サミットでは、国際エネルギー機関(IEA)がG8各国に対し導入目標の設定と市場の拡大措置を求めました。

そして、日本では経済産業省が2009 年に「ZEBの実現と展開に関する研究会」を開催。、「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現と展開について」という報告書をとりまとめています。

経済産業省では2030年までに新築全部をZEBにするという目標に掲げている

かなり急速な発展ですよね。年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロのZEBしか新築されないとなると、かなりのエコになります。どちらかというと、既存のビルに対して、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルに近い改築をより導入しやすくなるシステムも大切ですよね。

ちなみに英国は2019年までにすべての新築非住宅建築物をゼロカーボン化するという目標を掲げています。

米国は、もっと具体的で、 2030年までに、米国に新築されるすべての業務用ビルをZEBに、2040年までに、米国の既存の業務用ビルの50%をZEBに、2050年までに、米国のすべての業務用ビルをZEBというとても高い目標を掲げています。

ZEBが抱える課題

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1、ZEHよりも大規模である

家庭用戸建てをZEHにするのとは違い、ZEBは一定規模以上の建築物については既存で多くのシステムや機能が絡み合った状態で、さらに省エネと創エネの措置を施さなければなりません。技術的にハードルが高くなっています。

2、ZEB技術者の育成

当然ZEHより難しければ、技術者の問題が出てきます。大手建築事業者であれば、ZEBのノウハウや知見はありますが、重要なのは技術が全国レベルの事業者に行き届くかどうか。ZEB普及には、全国各地にZEBの技術を有する事業者が存在する必要があります。

高性能化と低コスト化による導入促進

設計仕様に対して、ZEB化のための追加コスト負担を軽く、高性能なものであれば、建築主はクライアントに対して、ZEBを推し進めるモチベーションができ、普及に繋がります。

ZEBの技術にいち早く乗り出し、世界へ先駆けた存在になる

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英国やアメリカの目標から分析すると、ZEBの技術で世界を牽引しようという考えは、多くの国が持っているように思えます。

そこで大事なのが国際展開の中で、諸外国との共同です。ZEBの検討が進んでいる欧米諸国と協力したり、気候条件の似通った中国その他のアジア諸国でアセスメントや開発テストを行ったりということです。

世界的にZEBが加速する際に、世界中で日本企業のシステムが導入されるのであれば、大きな市場を獲得することになります。

最後に

以上、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

日本を含め、各国の目標を見ていると、再生可能エネルギーの分野は日々急速に発展しているように感じます。エコに関する情報は定期にチェックしておくと、時代の変化の流れをきちんと捉えられるはずです。

ぜひ、今回も参考にしてみて下さい。




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