植樹・植林をする上で知っておきたい針葉樹林、単層林の知識

植樹・植林をする上で知っておきたい針葉樹林、単層林の知識

植樹・植林とは、「木を植え、森を育てる」こと。木を植えて、森を育てるなんて、環境対策としては悪いことがなさそうに思えますよね。

しかし、植樹・植林とは人が自然に介入することを意味し、やり方次第では、自然に与える影響が変わり、それは、人間の生きている世界にも影響が跳ね返ってくるということでもあります。

森林は位置している場所の気候や標高、気温や湿度など様々な要因により影響を受けます。環境が違えば、最適な森林の状況も変わってきます。

そこで、今回は植樹・植林で問題となっている「針葉樹林」「単層林」の2つの知識をピックアップしていきたいと思います。

日本には日本に適していない針葉樹林が多過ぎる?

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針葉樹とは、葉が針のように細長いマツやスギやヒノキなどの裸子植物球果植物門の樹木です。真っすぐ高く育つのが特徴。

日本では人工林(人が管理している森林)の9割以上、天然林(自然に育っている森林)の約4割が針葉樹です。

かなり多いですよね。日本で針葉樹が多い理由は、

・環境対策に経済性を求めて針葉樹を植えてしまうから
・軽く、柔らかく、成長が早くて、木材に最適だから

というのがあります。

しかし、針葉樹の適応地域は高地や寒冷地で、日本では北海道が元々の適応分布地です。針葉樹は寒さと乾燥に耐えるために葉が一枚一枚細く、十分な量の日光を浴びる為に、高く成長しようとします。結果、針葉樹は比較的短期間で真っすぐ成長します。

さらに、針葉樹は根が1m程度とあまり深く根を張ることができません。高く育ち根が浅い針葉樹は、倒れるリスクが高くなるため、木は軽く柔らかいという特性があります。軽い、柔らかい、成長が早いという三拍子揃った特性がある針葉樹は木材として重宝されます。

広葉樹から分かる針葉樹を植樹・植林するリスクとは?

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日本の観光に適応している樹種は基本的に広葉樹であり、広葉樹は針葉樹に比べて、葉の面積が大きいことが特徴です。

広葉樹の葉は、地面に落ちると、面積が広いので、ほぼ100%の地面を多い、落ちた葉が土壌生物によって分解され、栄養になっていきます。葉が地面を覆えば、日光や寒さを遮断し、保温を促してくれます。

針葉樹の場合は、地面をカバーできる面積は20%お言われています。土をカバーできなかったせいで、植物が寒さに耐えきれずに枯れたり、環境が安定せず森林の成長が遅くなったりと様々な弊害が生まれます。

日本に植えられている針葉樹は大部分が裸子植物であるため、果実を付けません。動物のための食糧になりづらく、針葉樹には動物があまり定着しなくなります。

山に食料が無くなってしまうと、猪や熊などが山から下って、人里に来てしまう問題が起こります。

広葉樹は地面に深く根を下すため、土砂崩れの災害を防ぐことができます。日本は災害大国、特に雨はゲリラ豪雨などの一点集中型のものも問題となっていますよね。土砂崩れが起こると、豪雨の災害は一気に大きくなります。

高く伸びる針葉樹は、日光が地面まで差し込み辛く、地面を覆う雑草が育ちづらい傾向にあり、先ほども述べましたが、葉が地面を20%しか覆わないため、土がむき出しになります。

強い雨が降ると、むき出しになった土は流され、しだいに土が減って、根が露出します。根が露出すると、木が根から丸ごと倒れ、さらなる被害を生んでしまいます。

針葉樹で有名なスギと言えば、スギ花粉が有名ですよね。スギやヒノキは裸子植物で、受粉の方法が広葉樹などの被子植物とは異なります。裸子植物は花粉を飛ばして受粉させるので、針葉樹が多過ぎると、人間に害が及ぶことになります。

同じタイミングで同じ高さに育つ単層林が起こす問題

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単層林とは、樹冠の部分が均一になっている林です。樹冠とは樹木の上部で葉が知っている部分のことで、単層林とは気の高さが全て同じになっている森林です。自然に成長している森林は、木が生えてくるタイミングがまちまちなので、それぞれの木で樹齢も異なり、それぞれの木で高さも異なります。

植樹は効率的に行うために、一般的に一度に大量の木を植えます。そもそも単層林という状態が自然界にとっては不自然な状態で、不自然な状態に警戒した植物が繁殖活動により力を入れようとし、花粉を多く発生させてしまいます。

裸子植物は風に乗せることで受粉を達成させるため、大量の花粉が風によって飛ばされるという現象が起きるわけです。

環境対策のために、植樹・植林をしようとすると、どうしても単層林になってしまいがちです。単に多くの木を植えればいいという問題ではないということです。

最後に

植樹・植林は考えずに行っても、とりあえずやれば、地球のためには凄くプラスになると思っていた方も多かったのではないでしょうか?日本では定着しているスギ花粉など、同種の針葉樹を同じタイミングで植え過ぎると、私たちの住環境にまで大きな影響を及ぼすことがイメージできたかもしれません。

表向きは良いと思われることも、本質をじっくり考えるリテラシーを持ちながら、環境問題と向き合っていきたいですね。




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