振り返ろう!日本のごみ問題の歴史
そもそも、なぜごみは問題になってきたのか?
ごみはいたって自然な物質でした。
例えば、動物の死骸や排泄物もごみの一つと言えます。
ただ、自然なごみは、生態系の中で循環し、資源となっていました。動物の死骸や排泄物は微生物に分解され、植物の成長のための栄養分となります。
かつては、自然の中に収まる循環的なごみの文化を作っていたのです。
そこで、今回は、日本のごみ問題の歴史を振り返っていきたいと思います。
江戸時代:し尿や紙の緻密なリサイクル
江戸時代の日本では、都市部で発生したし尿は、有料で買い取られて、農村部で肥料として循環させていました。現在の環境意識が高いヨーロッパでも、当時はごみやし尿が街の一部に溜まっていて悪臭を発していたそうです。
家庭から出ていたごみのほとんどは生ごみや灰で、それ以外のごみは排出されていませんでした。
個人差はありますが、紙はトイレに使った紙でさえ、きちんと回収していたようです。
割れた陶器も、壊れた傘も、修繕をきちんと行い、古着や履物も再利用。
今のように複雑高度化して多忙を極めている生活スタイルじゃないからこそ、衣食住により密着して、高いリサイクルを実現できていたのです。
1900年:欧米化と汚物掃除法
明治時代に入ると、「文明開化の鐘が鳴る」と言われたように、国内の欧米化が活性化されます。
すると、コレラ、ペストなどの伝染病が海外から持ち込まれるようになりました。公衆衛生上から、し尿処理を行うことが求められ、1900年に汚物掃除法が制定されます。
この汚物掃除法は、地方自体でごみ処理を運営していくという現在のスタイルの元祖と言われています。
また、江戸時代は新品のものが高価で手に入りにくいということもあり、廃棄物の利用が進んでいたと言えます。
個人レベルのリサイクル技術はこの頃のほうがハイスキルとも言えますよね。
1954年:化学肥料の普及と清掃法
第二次世界大戦後は、農村部に化学肥料が普及し、し尿を肥料として使用することがなくなります。
すると、し尿はごみとして扱うようになり、ごみとし尿を「汚物」として市町村が衛星処理する清掃法が制定されます。
1970年:高度経済成長と廃棄物処理法
高度経済成長期に入ると、産業活動が一気に激化し、同時に排出される産業による廃棄物が増大します。
すると、不法投棄の問題が発生します。
特に廃油の不法投棄で水質が汚染され、生活環境に支障が出てくるようになりました。
そこで、1954年に制定された清掃法は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、いわゆる廃棄物処理法に改正されました。
これで、廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に区分して、定義されることになります。
・産業廃棄物は事業者の責任で処理
・一般廃棄物は市町村の席んで処理
という区分が明確になります。
1990年代:リサイクル法連発
1990年代に入ると、資源枯渇への危機感が高まり、
・資源有効利用促進法
・容器包装リサイクル法
・家電リサイクル法
・建設リサイクル法
・グリーン購入法
・食品リサイクル法
・自動車リサイクル法
・小型家電リサイクル法
など、リサイクルに関する法律がどんどんと制定されます。
リサイクル率の高い産業廃棄物とリサイクル率の低い一般廃棄物
2014年の産業廃棄物は、約3億9,284万トンで、2015年の一般廃棄物は4,398万トン(東京ドーム約118杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は939グラム。
最終処分場の残余容量は17年間続けて減少、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況となっています。
産業廃棄物は大量に排出されますが、一度に同一種類のものが排出されやすいため、約50%が再利用され、残りは焼却により減量化され、埋め立てられます。
逆に、一般廃棄物は産業廃棄物よりも排出量は少ないですが、リサイクルされるのは約20%と言われています。
最後に:生活を単純にしていくとがごみ問題の解決に繋がる
一時期ミニマリストという言葉が流行りましたよね。生活をシンプルにすることは、衣食住に密着することを意味し、衣食住以外の要素と離れることで、排出されるものもよりシンプルになっていきます。
そうなると、リサイクルをする余裕を生まれますし、リサイクルしやすいごみの出し方になっていくわけです。
新しいサービスが次々と登場すればするほど、世界は複雑化します。便利になればなるほど、一次的な生活から高次元化していくため、ごみと向き合う余裕がなくなっていくわけです。
江戸時代のごみ事情がとても優れているのは、衣食住に密着せざるを得なかったという点に尽きるわけですね。
新しい技術や法律で高度なリサイクルを実現していくことも大切ですが、私たちの心も生活もシンプルに還元していくという姿勢も、ごみと向き合ううえで大切ですね。ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。
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