満員電車と環境問題、満員電車が与える影響
日本の首都圏の労働環境の1つの問題になっているのが、通勤ラッシュ。その中でも電車通勤で起こる「満員電車」は、様々な社会問題を生んでいます。
そこで、今回は、満員電車という環境が与える問題は、掘り下げていきたいと思います。
・満員電車は心身に大きなストレスを生む
・満員電車は依存症の原因になる
・痴漢の温床
・香害、スメルハラスメント
・体温調整妨害
・キャリーバッグ&ビジネスリュック問題
・電子機器利用による迷惑行為
・快適通勤ムーブメント
こう考えると、満員電車は交通機関として、いろんな問題を抱えていることが分かりますよね。それでは満員電車という環境における上記の問題を1つずつ細かく述べていきたいと思います。
満員電車は心身に大きなストレスを生む
不動産情報サービスのアットホーム株式会社が、首都圏在住で都内に電車通勤をしている会社員男女 618 名を対象に、“満員電車と住まいの関係”調査を実施したところ、
通勤電車の混雑が原因で「引っ越したい」と思った 33.2%
という回答が得られています、通勤電車の混雑は、住環境を選ぶ大きな要素になっていることが分かります。
フジテレビのWeb専門チャンネル『ホウドウキョク』の「毎日の通勤がつらい…? 通勤時間とストレスの相関性」の記事の中で、人事労務のカウンセリングサービスを行うベリテワークス株式会社・代表取締役で心理カウンセラーの浅賀桃子さんは、
心理学的には『パーソナルスペース』と言いますが、満員電車はパーソナルスペースが狭まってくるのがストレスになるのです。そのため、『またこれに乗るのか』と感じますし、今の季節であれば、風邪など『流行性の病気感染への不安』も一因となるでしょう
と述べています。電車にすし詰めになることで、パーソナルスペースが不快感を示す距離感に縮まり、ストレスを生んでしまうのです。
満員電車は依存症の原因になる
月に20日通勤で、片道1時間、往復2時間の満員電車に揺られるとなると、1ヵ月で40時間、年間で480時間にも渡り、強いストレスを受けることになります。
例えば、皆さんの中で、年間に480時間もの時間を費やして、自発的にストレスを感じようとは思いますか?すごく熱中したい事ですら、480時間も時間を割けていない人も多いですよね。
満員電車を含めた社会活動のストレスが肥大化すると、そのストレスへの対処を強いられます。その際に、偶発的に反社会的なものに触れてしまい、衝撃的な快感を得てしまうと、彼らは、社会で感じたストレスを反社会的なもので満たそうとするという依存症へ陥ってしまう可能性があります。
痴漢の温床
満員電車は、痴漢がバレにくい空間となっています。そして、痴漢とは、ストレスへの対処行動として、偶然に一度触れてしまったがゆえに、その刺激の虜になって、罪を行ってしまうという要因があります。
香害、スメルハラスメント
柔軟剤や香水から出る香りによって不快感を与える現象を、香害(こうがい)やスメハラ(スメルハラスメント)と呼びます。
これは、満員電車によるパーソナルスペースが近過ぎることが完全な原因と言えるでしょう。さらに、人が多ければ多いほど、臭いは混ざります。
お酒臭さ、煙草臭さ、汗臭さ、加齢臭など、いろんな臭いが密集し、それを近距離で嗅がざるを得ない満員電車は、まさに「香害」環境にあると言えます。
体温調整妨害
満員電車による密集で冬は電車の中はすごく暑いのに、外に出ると寒い。その温度差に体調を崩してしまう方もいるでしょう。
逆に電車の密集で暑苦しくなることが一番避けるべきポイントになり、その結果、冬なのに薄着をする方もいるかもしれません。
上着を脱いだら脱いだで、周りの人に引っ張られてしまい、満員の中での居心地抜群が悪くなるということもあるでしょう。
キャリーバッグ&ビジネスリュック問題
キャリーバッグやビジネスリュックなどの本来、その人にとって必要とされる荷物が、満員電車という状況になるだけで、「迷惑行為」だと認定されます。
身長差による押さえつけ、急な揺れによる叩きつけなど、キャリーバッグやビジネスリュックが実際に人に怪我を与える可能性もあります。
外国人観光客が電車を利用することが増えていけば、キャリーバッグやビジネスリュックで乗ってくる人も多くなります。余裕を持った空間を確保することが、国際的に見えても重要だと言えます。
電子機器利用による迷惑行為
日本民営鉄道協会が、当協会ホームページ上で「あなたが電車を利用される場合、迷惑と感じる行為を3つまでお知らせ下さい」と、2,419人からアンケートを行った「平成29(2017)年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」では、以下のように、電子機器利用に対する迷惑を感じている割合が非常に高いことが分かります。
4位 歩きながらの携帯電話・スマートフォンの操作 29.6%
6位 ヘッドホンからの音もれ 20.1%
7位 携帯電話・スマートフォンの着信音や通話 18.5%
16位 電子機器類(ゲーム機・パソコン等)の操作音 4.8%
これから電子機器は様々な進化を遂げていきます。ウエアブル機器などが電車での迷惑行為を増長するものでなく、歯止めになるような機能を持ったものになって欲しいですね。
快適通勤ムーブメント
国土交通省は2005(平成17)年に通勤定期旅客の経済的損失を年間6兆7000億円と試算しています。
こうした日本の伝統芸となってしまった満員電車の解決を促進するために、東京都知事の小池百合子さんは、「快適通勤ムーブメント」を打ち立てました。
2018年夏からの実施で、電車通勤する利用者や民間企業に、時差出勤、フレックスタイム、テレワーク導入などの取り組みを訴えるとともに、輸送者側には時間差通勤によるポイント付与キャンペーンや混雑の見える化を求め、積極的に参加する事業者や企業に対しては表彰制度を設けるという施策です。
政府が目指す通勤ラッシュ時の混雑率は150%とされているが、東京メトロの東西線は混雑時の乗車率は180%を超えています。
快適通勤ムーブメントは、企業の理解力や、余裕のある労働時間と労働構造で経済を成り立たせるような根本的な改革が必要かもしれません。
最後に
多様性の時代に、これだけ一極集中している日本の満員電車は、やはり、一極集中型の全員足並みを揃った形でないと成り立たせることができない社会そのものに問題があるようにも思えます。
「全員が時間をずらせば、いいだけ」、でも、それが難しいんです。満員電車の環境問題は、まさに日本の縮図だと言えるかもしれません。
<参考資料>
・「“満員電車と住まいの関係”調査|at home」
・「毎日の通勤がつらい…? 通勤時間とストレスの相関性|ホウドウキョク」
・「臭いと思われているかも…柔軟剤のスメハラ問題!|ニフティニュース」
・「満員電車の経済損失「年6兆7000億円」解消なるか? 『通勤電車のはなし』【書評】|zuu online」
・「ラッシュ「押し込み」、車内の圧迫が激化して乗客がケガ…責任問題はどうなる?|弁護士ドットコム」
・「満員電車解消「快適通勤ムーブメント」今夏実施へ|IT mediaビジネスONLiNE」
・「寒~い朝、ムレる電車、着太り問題…1日中キモチいい“寒さ対策”ってある?|J・SPA」
・「大流行のビジネスリュック、満員電車では大迷惑!|Yahoo!ニュース」
・「平成29(2017)年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング|一般社団法人日本民営鉄道協会」
・『男が痴漢になる理由』イースト・プレス 斉藤章佳 2017
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