人口減で起こる環境問題について

人口減で起こる環境問題について

日本は出生率の低下から、人口減の傾向にあります。2015年の総務省が行った国勢調査の確定値では、総人口が初めて減少に転じました。14歳以下の人口より、75歳以上の人口が上回わり、本格的な少子高齢化の波が押し寄せています。

内閣府が2017年に発表した高齢社会白書では、日本の総人口は2055年に1億人を割り込み9744万人、2065年には9000万人を切ると推計されています。2065年予測では、9000万にのうち、3400万人近くが65歳以上の高齢者になると言われています。

そこで、今回は人口減により、起こり得る(すでに起こっている)環境問題について掘り下げていきたいと思います。

1、空家・廃墟問題

人口減によって、今後使われない「住まい」が増えます。例えば、以前なら、家族に引き渡されたり、貸家として利用され、鮮度を保っていた家が、ボロボロになっていきます。

単身で住んでいて亡くなると、家の取り壊しをすることなく、その家は、放ったらしの状態になってしまいます。住宅街でそのようなことが起きると、倒壊により、近隣の家を傷つけたり、周囲の道を塞いだり、被害は大きくなります。空家が廃れていくと、当然景観にも影響を及ぼします。

総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は年々増加し、2013年時点で既に約820万戸。このうち約318万戸は売却や賃貸など再利用の見込みもないようです。23年ごろには住宅の5軒に1軒が空き家になるとの試算もあります。

空家については、円滑に処理をするシステムをコスト面も含めて確率させていく必要があります。

2、公共交通網の不便化問題

人口減とは言ってしまえば、ニーズの数が減ってしまうことを意味がします。ニーズ、すなわち、需要が減るわけですから、供給も減るわけです。

なので、公共交通機関の供給も減ります。公的機関が届けてくれる生活関連サービスが縮小すると、それらに頼らざるを無かった人たちの生活には明らかに支障が出ます。

つまり、生活圏として成り立たなくなることを意味します。

人口減は生活可能区域を減らすことを意味し、行き場を失う人を過剰に増やす社会の可能性を含んでいます。

3、医療が受けられない問題

市町村に一般病院が80%以上の確率で立地するためには、27,500人以上の人口規模が必要とされています。また、市町村に50%以上の確率で立地するためには5,500人以上の規模が必要とされています。

医療機関の休廃業や解散は、07年に121件だったのが、14年には347件と増加の一途をたどっています。また、2017年の「医療、福祉事業」の倒産件数は250件で、介護保険法が施行された2000年以降で最多になっています。(調査対象の「医療、福祉事業」には、病院、医院、マッサージ業や鍼灸院などの療術業、老人福祉・介護事業などを含みます)

市町村内の人口が減ったら、病院が存在せずに、医療を受けるのに一苦労という問題が起きます。近隣の市町村も同じような人口減にさらされると、医療を受けるためにかなりの遠出を強いられることになります。

4、税収減による行政運営の悪化

これまでお伝えしたことからも分かりますが、人口減はあらゆるボリュームが減ることにその問題があります。以前のボリュームで成り立っていた物事が、ボリューム減により、バランスを大きく崩すからです。

税の収入が減ることで、行政の運営が悪化することも同様です。自治体財政が悪化すれば、道路や橋などが台風や大雪による被害を受けても、修復できないということになります。

その地域の行政が不安定であれば、その地域から出ていく人が増え、その地域の人口減はさらに拍車を掛けることになります。もしくは、行政運営が悪化しても、他の場所へ移る余力すらなく、その地域で苦労を強いられる可能性もあります。

5、孤独死の増加

人口減の原因を単純に考えると、結婚し、子供を作る人たちが減っているからです。「生涯未婚率」は1975年に男性2.1%、女性4.3%だったが、15年には男性23.4%、女性14.1%にまで上昇。生涯未婚率は、今後も上昇すると言われています。

2018年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した世帯数の将来推計によると、2040年には単身世帯が全世帯の39.3%にも及ぶとされています。

孤独死が増加するイメージが湧きますよね。孤独死は死んだ人が野放しになることを意味します。そして、それは空家問題とも関係することがイメージできるかと思います。

6、労働構造の変化

例えば、人口減によって、多くの企業が国内のマーケットだけで成り立たなくなってしまうと、海外へマーケットを開拓する必要が出てきます。

職業選択の変化も当然押し寄せてきます。厚生労働省のデータによれば、2000~2010年の10年間で、事務職や工業系技術者は14%、農家や漁師は30%、また土木作業者や建設技術者は40%も減っています。

一方、介護関係職員は倍以上に増加し、葬儀関係者も1.5倍に増えています。人口減により、私たちの労働構造は大きく変わっていくのです。

最後に

人口減は国として弱くなることを意味しなす。柔軟な対応をする余裕がなくなり、肉体だけでなく、精神にも多くのダメージを与えてしまいます。

余裕のある海外から、日本のあらゆるモノやコトが乗っ取られる可能性すらあるかもしれません。

電子的に高速で表層的な繋がりができる時代だからこそ、リアルな場面で、周囲の環境や人間について深慮する機会を作り、親身に空間を慕うことが、相手を自然に思い、相手と深い関りを得ることに繋がります。

深いつながりがあれば、私たちは人口を健やかに増やせるのかもしれません。ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。

<参考資料>
・「2055年には1億人割れ…日本の人口推移をグラフ化してみる(高齢社会白書)(最新) |ガベージニュース」
・「成仏できぬ廃屋の怪 崩壊寸前の「お化け屋敷」 撤去費に課題、悩む行政 【あなたの特命取材班】|西日本新聞」
・「人口減少が地方のまち・生活に与える影響|国土交通省」
・「日本の人口減少と自然環境の変貌|J-STAGE」
・「人口減少社会における環境ビジネスの商機 | コラム | 環境ビジネスオンライン」
・「「2025年問題」をご存知ですか? 「人口減少」「プア・ジャパニーズ急増」…|現代ビジネス」
・「高齢化社会なのに…病院・福祉施設が“大倒産時代”突入 報酬改定と人手不足で激震|SankeiBiz」
・「2040年推計:単身世帯4割に 未婚化が影響 |毎日新聞」




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