日本はエコ後進国?諸外国のエコ事情【ドイツ編】

日本はエコ後進国?諸外国のエコ事情【ドイツ編】

日本の環境に関する実態を知る一つの指標になるのが、海外の環境への取り組みです。海外の状況と日本を比較することで、国内でのエコに対する本質を知ることができます。

そこで、今回は環境先進国を自認するドイツのエコ事情について説明していきます。

82%の回答者が自治体は自動車を必要としない街づくりをするべきだと回答

ドイツ連邦環境省がオンライン上で2117人に対して行った「2014年環境意識調査」によると、82%の回答者が自治体は自動車を必要としない街づくりをするべきだと回答。

さらに回答者の半数が、環境・気候保護は、繁栄を確保し(56%)、ドイツの競争力を維持し(48%)、雇用を確保する(46%)前提条件であると答えました。

一方、日本は、マイボイスコムが、10代111人、20代971人、30代2,150人、40代3,197人、50代以上4,127人の合計1万556人に対して「カーライフに関するアンケート」を実施したところ、7割以上が車を必要だと考えているという結果になりました。

2014年の国内電力消費に占める再生可能エネルギーの割合は、27.3パーセント

2014年のドイツの再生可能エネルギーによる発電量は、1990年当時の発電量と比較すると約8倍。2014年のドイツの電力消費量は3.8%減少したにもかかわらず、国内総生産(GDP)は前年比1.5%上昇しました。2015年には総発電量に占める再生可能エネルギーの比率が30%にまで高まっています。
http://jref.or.jp/column_g/column_20150205.php

一方、日本では2013年度の日本の全発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、4.7%となっています。(※日本の全発電量:一般電気事業者、その他発電事業者および自家用発電を含む(「EDMC」「電気事業便覧」などより)発電量に対して、自然エネルギーの発電量(「自然エネルギー白書」で推計)などを加える。)

CO2排出量の削減率は1990年の32~35%

ドイツ政府は、2020年までCO2排出量の削減率は1990年の32~35%になると予想されています。(ドイツはCO2排出量を90年比で40%削減することを目標にしています)

日本は、2014 年の温室効果ガス排出量1990 年の総排出量(12 億 7,000 万トン)と比べて、7.5%(9,500 万トン)の増加となっています。(環境省 2014年度(平成26年度)温室効果ガス排出量)

ドイツの環境首都とフライブルグでの取り組み

環境政策の先進都市としてドイツの「環境首都」であるフライブルグ市には市民が参加して作り上げたエコタウン「ヴォーバン住宅地」があります。

2,000戸、約5,500人が生活するこの住宅地の約8割はコーポラティブハウスと呼ばれ、住宅ごとに独自のコンセプトを持ち、そのコンセプトに興味のある住民が集まって建築グループを作り、建築計画が進められます。

住宅によって、冬場の採光・夏場の日射遮蔽を両立させる採光設計や、熱効率のよい換気の仕組みを取り入れることで、自然の力を活用して省エネ性能を格段にアップさせるなど、住居者が自発的に様々なエコに関する取り組みを行っているのです、

省エネ性能の向上に取り組むだけでなく、屋根全体に太陽光発電パネルを載せ、発電量が消費エネルギー量(電気、暖房など)よりもプラスとなる「プラスエネルギーハウス」も誕生しています。単なるエコというよりは、再生可能エネルギーのみで生活が成り立つような高い目線で取り組んでいると言えますよね。

ドイツの先進的なエコの取り組みは、ドイツ人の社会環境が与える「余裕」から来る

さて、今回、ドイツのエコ事情を取り上げてきましたが、エコに対して真摯に取り組める理由に、ドイツ人が余裕を持って社会と向き合える環境があるように思えました。

ドイツ人のサラリーマンは、1年に約150日休んでいます。その内訳は、土日が1年で約100日、それに祝日やクリスマス休暇、有給休暇などを加えて150日です。

また、ドイツ人は、他者のために行う労働の時間と、自分のために使う時間を厳密に区別しているようです。そして、企業などが自由時間を侵すことを断固拒否し、自由時間の確保を重要視しています。

ドイツでは日曜日や夜遅くの営業は法律で原則禁止されていて、退社から出社まで休息時間として11時間を空けなければならないと規定されています。規定以上の労働を命じた上司は罰せられ、悪質な場合は、個人で罰金を支払わされるケースもあります。。

また、大学の授業料は無料、育児や介護のケアも充実しています。

つまり、ドイツは、社会時の時間と自分の時間が療法確保することができ、時間に対して余裕を持つことができる国だと言えます。

時間に余裕があれば、細かいエコの取り組みを行う余裕も生まれます。日本人は基本的に働き過ぎで、過労死は欧米では特異な現象で、「karoshi」と呼ばれます。日本のエコの法律は、一般消費者に義務を与えているものは少なく、結果的にエコが後回しになってしまうのかもしれません。

とはいえ、働き過ぎな日本人だからなせる職人気質の匠の技もあるはずです。プライベートな側面で時間を割けない社会環境の中で、ビジネスの側面でエコがもっと広がり、もっと住みやすい国になると良いですね。




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