画期的?リスクもある?燃える氷「メタンハイドレート」について

画期的?リスクもある?燃える氷「メタンハイドレート」について

そもそもメタンハイドレートとは?

メタンハイドレードとは、「メタンと水が作る氷状の固体結晶」です。メタンハイドレードは、「燃える氷」とも言われています。

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photo by U.S. Department of Energy

要は、氷の中にメタンが詰まっている状態で採掘できるのが、メタンハイドレードです。

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ハイドレードとは、水素結合による水分子のかご状構造の中に他の物質の分子が入り込んだものです。メタンは、ガスの状態で存在する燃えるガスで、都市ガスの90%以上はメタンと言われています。

メタンハイドレートが日本で注目されている理由

メタンハイドレートは世界中の沿岸の海底に存在します。日本は島国ですから、沿岸に囲まれ、豊富なメタンハイドレートを採掘する可能性に溢れています。

経済産業省資源エネルギー庁による『日本のエネルギー2017』日本によると、日本のエネルギー自給率は

・2010年 19.6%
・2013年 6.3%
・2014年 6.2%
・2015年 7.4%
・2016年 8.4%

となっています。エネルギーありきの世の中でありながら、エネルギーを国内で自給できていない状態は、とてもリスキーな状況であり、メタンハイドレートは日本にとって、エネルギー自給率を一気に高めてくれる資源になり得る可能性があるのです。

エネルギー自給ができる海外ではメタンハイドレートは注目されていない?

エネルギー自給率90%以上を誇るアメリカ、174%を誇るカナダでは、メタンハイドレートへの開発は消極的です。アメリカは、2010年に約2000万ドルを調査費用に投じましたが、2013年には4分の1の約500万ドルに低下しています。

アメリカの場合は、粘土が固まってできた水成岩である頁岩から出来る安価なシェールガスが豊富にあり、メタンハイドレートは費用対効果としては魅力を感じていないという点があります。

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日本では、2013年に約1億2000万ドルを投じた調査を行っていることからも、日本の気合いの入れ様が伺えると思います。

メタンハイドレートは実体が未だに掴めていない

ハイドレートという状態は、石油鉱床(鉱物が地中に局部的に集まっている場所)とは違い、非常に不安定で、周囲への生態系の影響が十分に把握されていない不明確な部分があります。

例えば、海中の堆積物へ含まれるメタンの推定量は170ギガトン~1万3000ギガトンというかなり曖昧な幅の見積もりが出ています。

メタンハイドレートは温暖化を促進してしまうの?

メタンハイドレートは100年間という期間で見ると、メタンは二酸化炭素の25倍もの強さを持つ温室効果ガスであると言われています。

また、温暖化が進行すれば、海洋中の温度も高まり、メタンハイドレートの一部が酸化して、CO2に変化し、温暖化傾向を長引かせるとも言われています。

メタンハイドレートは津波を起こすの?

ハイドレートは強力な浮力を持っていて、1㎥のハイドレートは常温常圧では、164㎥のメタンガスと0.8㎥の水へ膨張すると言われています。

地震が起きて、ハイドレートがかく乱すると、膨張して、浮力を与え、津波が起こる危険性も考えられます。

地球の芯をえぐるからこそ、慎重にならなければならない

メタンハイドレートのほとんどは、水深300m以上の低温で高圧下のハイドレート安定領域に存在します。

そして、海底下1000mにも及ぶ堆積層が複雑な経路を構成して、固体のメタンハイドレートが詰まっています。

さらに深い堆積の層になると、メタンは地球の内部の熱で温められて、着たいとして存在しています。

いわば、メタンハイドレートに手を出すということは、地球の芯に介入していくということです。

だからこそ、調査は「エネルギーとして有効なのか?」に留まる問題ではなく、地球全体の影響を慎重に考える必要があるわけです。

そんなメタンハイドレートが、今後どのような展開を迎えていくのか、非常に楽しみですよね。メタンハイドレートについて知ることは、地球の環境の本質をより深くことなのかもしれません。




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