知っておきたい森林破壊の基礎知識。世界の森林破壊と日本の森林問題について

知っておきたい森林破壊の基礎知識。世界の森林破壊と日本の森林問題について

地球環境問題のトッピクとして重要な問題とされているものの一つが、森林破壊です。
森林破壊=自然の破壊、だから、それは地球には危ないとイメージしている人も多いと思いますが、森林破壊の問題は複雑な側面を抱えています。

そこで今回は森林破壊の基礎知識を分かりやすく説明していきたいと思います。

そもそもどれぐらい森林の破壊が進んでいるの?

世界で最も速く森林が減少すると言わているのがインドネシア、スマトラ島です。1985年からの30年の期間で観測すると、半分以上の熱帯林が失われ、今もなお減少し続けています。また、マレーシアとブルネイを含むボルネオ地帯は、現状のペースで森林破壊が進むと、森林が2020年までに原面積の4分の1未満になる可能性があると言われています。

国際連合食糧農業機関の最も包括的な森林調査である「世界森林資源評価2015」によれば、1990年以来、南アフリカとほぼ同面積にあたる約1億2, 900万haの森林が消失したと報告されています。

森林が破壊されるとどうなるの?

森林破壊の重要性を知るためには、まず、森林の機能を知ることが大事です。
地球にとって森林には以下のような大切な機能があります。

1、生態系の保持

森林は多くの生物を養っています。そして、多くの生物は食物連鎖によって支え合っています。森林には地球上の生物種5~8割が生息し、病気に有効な微生物や菌類なども存在します。

特に世界中で2030年までに生じる森林破壊の80%以上は11カ所、うち10カ所は熱帯地域に集中すると言われています。熱帯地域には地球上の全生物種の75%が生息していると言われ、多様な生物の住処となっていますから、森林破壊が絶滅危惧種や生態系の破壊に繋がっているとことが分かりますよね。

2、天然ダム機能

森林の土壌は、スポンジのように多孔質であり、降雨時には空隙に大量の水を蓄え、降雨後に徐々に放出する機能を持ちます。森林の樹木を山から流れる水の勢いをなだらかにしてくれます。洪水だけでなく、雪崩を防ぐ機能も森林にはあります。

異常気象が多くなり、局所的に大雨や大雪が起こることを考えると、森林の天然ダム機能は、私たちの生活の安全を助けてくれることに繋がります。

3、栄養分が豊富な土壌作り

微生物や菌類、落葉、森林に生息する動物のフンなどが、土壌に影響を供給します。腐葉土という言葉がりますよね。森林の落葉にって、葉が土へ落ちて、発酵分解することで栄養が豊富な土になります。

また、森林が蓄えている栄養分は、雨によって河川を通じて海へ栄養を供給しています。

4、、二酸化炭素の吸収

森林は地球上の酸素の40%を生産しているとされています。森林は私たちが毎秒健全に行動ができる源となっているわけです。酸素の生産が少なくなれば、息苦しい生活となっていきすよね。

酸素は光合成によって生まれますから、40%の酸素を生産しているということは、それだけ多くの二酸化炭素の吸収も行っているということです。

そもそも森林破壊の原因は?

森林破壊の原因として上げられるのは、

・商業用の家畜
・パーム油と大豆生産を含む農業の拡大
・焼畑農業など小規模農業者による森林の開拓
・工業団地やリゾート地建設による商業伐採
・人口爆発による薪炭燃料需要の急増

です。世界自然保護基金の調査報告によれば、世界中で2030年までに生じる森林破壊の80%以上はアマゾン、大西洋沿岸の森林地帯とグランチャコ、ボルネオ島、セラード、チョコ-ダリエン、コンゴ盆地、東アフリカ、東オーストラリア、メコン流域、ニューギニア、スマトラの11地域で、発展途上国の農業・商業・工業の在り方とどのように向き合っていくかが森林破壊を防ぐ鍵になります。

森林植えたら解決するんじゃないですか?

森林破壊の問題を考えるときに、この考えに辿り着く方は多いと思います。
人為的に植えられた森林は人工林と呼ばれています。

しかし、この人工林についても多くの問題を抱えています。
まず一つ目が、森林の多様性です。人工林として使われるのは、おもにスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツ、など比較的成長が早く、建築用途に適した針葉樹の木です。針葉樹は、、下草刈りなど、人間が手を加えないと荒れてしまいます。

日本では林業の人手不足が問題として上げられていますよね。すると、人工林は活かすことができなくなります。天然林の魅力は周囲の樹木から運ばれてきた種子が発芽・成長して森林が形成・維持されていて、多様な種類や年齢の樹木が入り交じっていることにあります。

多様であることはバランスがあるということです。つまり、人工林で多様な森林生態を実現させるためには、商業利用する森林以外の種類の森林を継続して育てる必要があるのです。

無くなった分だけ一気に植えれば良いというものではないのです。

森林破壊は進んでいるのに、森林は余っている?

日本は戦後復興の森林需要が急増し、政府は「拡大造林政策」を行いました。昭和20年代半ば(1950年代)から昭和40年代半ば(1970年代)にかけては、毎年30万ヘクタール以上の植林が行われ、ピーク時には、年間40万ヘクタールを超える植林が実施されたそうです。現在の人工林の総面積は約1000万ヘクタール、蓄積量が約3000万ヘクタールと言われていますから、相当な量であることが分かりますよね。

そんな時期に、木材が不足し、高騰を続ける中、政府が行ったのが拡大造林政策です。

しかし、時代と共に、燃料の中心が木炭や薪から電気・ガス・石油に大きく切り替わっていきます。都市に薪や炭を供給する役割も持っていた里山地域も役割を失ってしまいます。エネルギー源としては時代に適さないと考えられるようになりました。

さらに、日本の木材は現在ほとんどを輸入に頼っている状態となっています。そのため、国内で造られた人工林が荒れたまま放置された新たな問題を引き起こしているのです。

森林放置がされると、

・森林に十分な手入れがなされていない
・森林が荒廃し本来の機能を失う
・現在の森林も脆弱になる
・森林の利用ができず循環できない

という問題が起こります。人工林は植えて終わりではありません。
森林破壊の問題は、人口植林の問題とも密接に関わっているのです。

最後に:日本の森林は多様

日本の風土の特徴として、

・全国的に十分な雨量がある
・南北に伸びている
・山や坂などの傾斜が急で険しい
・低地帯~高山帯まで
・沖縄の亜熱帯から北海道の亜寒帯まで気候が多様である

があり、日本は多様な環境を持っていると言えます。
そのため、日本の森林も多様な森林が育ちます。

これから、日本で生活する中で、いかに多様性に富んだ環境を確保していくかが、過ごしやすい日本になるかどうかの分かれ目とも言えるでしょう。

環境問題はある意味、「多様性」や「バランス」や「均衡」を作ることなのかもしれません。

ぜひ、この記事を通して森林破壊についても一度考えてみて下さい。




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