企業が知っておきたい「環境経営」の基礎

企業が知っておきたい「環境経営」の基礎

日本で環境経営が注目されたのは1992年頃

1992年と言えば、ブラジルのリオデジャネイロで地球環境サミットが行われました。リオデジャネイロでの地球サミットは…

・持続可能な開発
・アジェンダ21

などが掲げられ、日本では大企業が環境憲章や環境ビジョンの策定と公表を行い、企業が環境に配慮した経営を行う流れがスタートしました。

環境経営の元祖とされるフォルクスワーゲンのウルリッヒ・スティガー

環境経営の先駆けとなったのが1993年にフォルクスワーゲンの取締役を務めていたウルリッヒ・スティガーです。

ウルリッヒ・スティガーは、『企業の環境戦略』といいう著書において、

・経済発展と資源の消費を切り離す技術を開発する
・需要行動の変化と生態系の影響をなくす

と述べており、企業経営の戦略六角形に、

1、グローバル化
2、技術革新
3、環境保護
4、情報
5、価値
6、多様性

の戦略を提唱しました。社内には環境におけるマネジメント担当者を置くことを提言し、現在でも参考にする部分が多い環境経営のビジョンを残しました。

環境経営の1つの指標である「ISO14001環境マネジメントシステム」

ISO14001は、スイスの西側ジュネーブに本部を置く国際標準機構ISOの発行する環境マネジメントシステム要求事項という国際規格です。

・組織内の継続的な環境へのパフォーマンスを改善
・PDCAサイクル手法での取り組み

を第三者組織によって認証を行うのが特徴です。第三者組織認証とは、評価対象を供給する人又は組織と、その評価対象の使用者の立場で利害をもつ人又は組織との双方から独立した人又は機関によって実施される適合性評価の手法です。

環境省が2014年に発表した「環境にやさしい企業行動調査」結果のまとめでは、ISO14001 等の認証取得状況は、上場企業で 81.1%、非上場企業で 49.7%となっています。

リスクマネジメントと環境経営

リスクマネジメントとは、リスクを組織的にマネジメントし、損失などの回避または低減をはかることです。

企業活動によって、国民に害を与えるような環境負荷を与えるに限らず、地球規模の環境問題も企業活動と密接に関りがあると認識したうえで、事前にリスクを調べ、リスクへ対策を取ることが環境経営には非常に大事になってきます。

CSRと環境経営

CSRとは企業の社会的責任のことです。企業は、社会の中で利益を還元し、利潤を追うだけでなく、リスクをマネジメントし、さらには、責任を持ち、責任を果たす存在と考えられます。

企業は自分たちの活動の情報をきちんと利害関係者に公表し、利害関係者は必要があれば、企業に対して要請を出し、企業へ変化を問うことができる。

ビジネスと環境経営

環境に配慮することは、企業が身銭を切って環境へ協力することに留まりません。エコビジネスとして、企業が環境問題を解決するために、新しい市場と消費者を作り出すということも可能です。

企業存続のために、有用性の高い商品やサービスをの提供を行うのは、企業の本質であり、そのジャンルが環境ということももちろんあるわけです。

環境配慮がビジネス性を高めたり、企業存続の助力になったり、環境と経済を融合させることができれば、環境経営はよりパフォーマンス性が高いものになります。

中小企業レベルでの環境経営の取り組み

排出量の多い産業廃棄物のリサイクル率が高く、排出量の少ない一般廃棄物のリサイクル率が低いように、個人レベルに向かうに従って、環境経営の難しさは露呈されます。

環境配慮活動は、大企業からすれば、ハイリターンが見込める余地があったり、人材をきちんと確保しやすくかったりの利点がありますが、中小企業のビジネスとしての利点を生み出しづらく、既存の企業形態を変えるリソースがないなどの問題に直面しやすくなります。

トリプルボトムラインと環境経営

環境経営の実践において、企業には「経済」「社会」「環境」3つの決算がある提唱されるトリプルボトムラインという考えがあります。

提唱したのは、イギリスのサステナビリティ社の社長であるジョン・エルキントン。ボトムラインとは、企業財務における損益計算書の最後の行で、当期純利益のことを指します。

決算書の最終行(ボトムライン)で収益・損失の結果を述べるように、社会面では人権配慮や社会貢献、環境面では資源節約や汚染対策などについて評価するべき、と提唱したものです。

経済、社会、環境の3つの項目の年次決算を基軸として、資源の有効利用や再利用、さらにはその効率性を上げること、広義の社会貢献によって、社会全体を豊かにしようとしたものです。

最後に

環境経営が私たちに教えてくれるのは、企業の本当の価値は、多面的な価値の相互関係によって成り立つということです。

単純な利益や利潤、社会的地位の獲得、それはあくまでも企業の価値の一部ですし、その裏にある影響力、ステークホルダーとの社会的関与を見つめ、総合的に健全で持続で的な企業活動をすることが大切だということです。




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