えっ?これも燃料になるの?バイオ燃料まとめてみました

えっ?これも燃料になるの?バイオ燃料まとめてみました

燃料と言えば、化石燃料の石油を思い浮かべると思いますが、石油の枯渇の危惧から、燃料については、新しい燃料の開発が進んでいます。

そこで、今回は、再生可能な生物由来の有機性資源(バイオマス)を原料にした、バイオ燃料として扱われる、様々な原料についてご紹介していきたいと思います。

ミドリムシ燃料

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ミジンコのように動きながら光合成も行う、動物と植物のあいのこの「微細藻類」であるミドリムシ。あのミドリムシが燃料になるんです。

ミドリムシ、クロレラ、アオコなどの微細藻類は、光を吸収する効率が極端に高く、しかも、成長がなんとバクテリア並みに早いという特徴があります。そして、ミドリムシの細胞内には脂質が多く含まれていて、石油や天然ガスの主成分である炭化水素を生産します。

しかも、微細藻類は葉や茎がありませんし、非常に小さいですよね。このことは、陸上植物より廃棄物が少なく、しかも、タンクの中で培養できるというメリットを与えてくれます。

一つデメリットがあるとすれば、油の収量が大きいミドリムシは外敵の攻撃に弱いということです。、そうなると、大量培養することが困難になり、それが今までミドリムシがバイオ燃料として手を出すことができなかった理由です。

しかし、大量培養技術に革新の兆しが見られ、ミドリムシをビジネスチャンスとして捉える企業が増え、これから、ミドリムシ燃料がよりメジャーになっていくと予想されます。

トウモロコシ燃料

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米国では毎年1億2000万トンものトウモロコシがエタノール生産に使われています。トウモロコシなどの作物は食料や飼料としても重要なため、食用とバイオ燃料用の両方の受容を満たすことを目指した研究が行われています。

サトウキビ燃料

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サトウキビを燃料とする試みは、日立製作所と宮古島新産業推進機構(MIIA)が共同で技術開発に取り組んだ発電システムがあります。

宮古島産サトウキビ由来の廃糖蜜と宮古島の原生酵母を利用して、1時間で発酵液1リットル当たり10グラム以上のバイオエタノールを生産できる製造技術を開発しました。発酵温度は40度で、温度制御の冷却に冷凍機を必要とせずに、水道水を代用できるようです。

ヒマワリ燃料

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中央農業総合研究センターでは、超臨界メタノール利用したSTING法という新しい変換技術を用い、ナタネ・ヒマワリ油や廃食油からバイオディーゼル燃料に変換する技術を開発しました。この変換技術は、従来のアルカリ触媒法で問題となっているグリセリン等の副生物を生成しないという特徴を持っています。

中央農業総合研究センターの技術をもとに精製した100%バイオディーゼル燃料は、業務用マイクロバス2台の運行を開始し、さらに、バイオディーゼル燃料の使用許可を、茨城運輸支局から取得しています。

廃食油燃料

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菜種油と同様にバイオディーゼル燃料と呼ばれています。日本国内では、1年間でおよそ約200万トンの食用油が消費されており、その内、廃棄される廃食油は年間約40万トンと言われています。

飲食店や食品関係企業からの廃食油は、回収後に、飼料・石鹸・塗料などへのリサイクルの試みがなされていますが、一般家庭から出される廃食油の多くは、生活排水として河川に流され、環境問題にも影響を与えています。

廃食油が燃料となり、それが各家庭の家計を少しでも潤すような仕組みができれば、環境に優しいエネルギー循環を生み出すことができます。

ジャガイモ

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NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、中国・国家発展改革委員会とジャガイモのでんぷん工場から排出されるジャガイモ残りかすを原料としたバイオエタノール製造技術の実証に取り組んでいます。

でんぷんの残りかすに前処理を施した後、酵素を加えて糖化し、それを発酵させ蒸留、水分を取る無水化工程を経てバイオエタノールにするというものです。

家畜排出糞燃料

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家畜の糞が「肥料」になることは知っている人が多いかもしれませんが、なんと「燃料」にもなるんです。

生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚泥、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生した燃料は、バイオガスと呼ばれます。

岡山県農林水産総合センター畜産研究所の白石誠専門研究員らの共同研究グループでは豚糞尿由来のバイオガスを燃料とする固体酸化物燃料電池(SOFC)で、バイオガスからの炭素析出を抑制できる触媒の組成を決め、LED電球の点灯に成功しました。

お米燃料

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大成建設が2014年5月、米を収穫した後に残る「稲わら」から効率良くバイオエタノールを作り出す技術の開発に成功しました。

大成建設の技術では、1リットル当たりの製造コストを70.7円まで引き下げることができるそうです。この値段は、コスト上の目標を大きく上回っていて、二酸化炭素の削減率もクリアしているため、お米を食べて、燃料を作る社会へ着実に近づいていると言えます。

最後に

以上、バイオ燃料の様々な原料をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

2016年6月、日産自動車は、液体のバイオエタノールから発電した電気で走行する新しい燃料電池車向けシステム「e-Bio Fuel-Cell」の技術を公表しました。また、走行距離はガソリン車並みで、車両価格も従来の燃料電池車より大幅に安くなるようです。

バイオ燃料が主流になる時代はそう遠くないかもしれません。ビジネスとして、バイオ燃料にチャンスを見出すことができれば、多くの企業で開発もより進んでいき、社会の中で使い勝手の良いインフラとして構築されていくはずです。

バイオ燃料について、興味が湧いた方は、今後も動向に注目してみて下さい。




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