東京2020:みんなの表彰台プロジェクト

東京2020:みんなの表彰台プロジェクト

 リサイクル金属で作られたメダルについてご紹介しましたが、実はそのメダルが選手に贈られる際にリサイクルで出来ているものがもう1つあります。それが表彰台です!

 東京2020組織委員会は「使い捨てプラスチックを再生利用した表彰台プロジェクト~みんなの表彰台プロジェクト~」を打ち出し、国内のスーパーマーケットや学校などから集める使用済みプラスチックを基本材料に、海洋プラスチックも一部使用して表彰台を作りました。市民もプラスチック材料の回収元として参画して表彰台を作るのは、オリンピック・パラリンピックともに史上初の試みだそうです。

 全国で回収拠点を設け、シャンプーや洗剤の容器を中心に合計で約24.5tもの使い捨てプラスチックが集められました。衣類用洗剤によくみられる900g入りの洗剤ボトルに換算すると、なんと約40万個分だそうです。

そうして完成したのがこの表彰台です。

引用:東京2020オリンピック表彰台 (olympics.com)

 オリンピック・パラリンピックのエンブレムも手掛けた野老朝雄さんがデザインしました。                   

「多様性と調和」というメッセージが込められたエンブレムを体現しており、今大会のエンブレムコンセプトである「組市松紋」を立体化した側面デザインになっています。日本の伝統的な模様を幾何学的に発展させ、藍染めを想起させる深い青色と合わせることで日本らしさを発信するデザインを目指したそうです。中央にある銀色のオリンピックシンボル(パラリンピックの表彰台も同様)は、東日本大震災の際に建てられた仮設住宅のアルミ廃材から作られました。ここまでリサイクルが徹底されているなんてすごいですよね!この青色にもこだわりが詰まっていて、日光やプールの水面が反射する光の当たり方が考え抜かれているそうです。バージン材(未使用の素材)を使わなくてもこのような深みのある色の作品ができるとは驚きです。

引用:東京2020オリンピック表彰台 (olympics.com)

 尚、この写真が載っている公式サイトには、この表彰台が出来るまでの動画と、野老さんのインタビューが掲載されています。回収された使い捨てプラを綺麗なペレット(ビーズ状にしたリサイクルプラスチック素材)にするところまでは通常のプラスチックリサイクルでもよく見られます。しかしこのような複雑な模様の表彰台は、3Dプリンターで1つ1つ作られたキューブを重ねることで出来ています。その工程の動画は大人の方でもワクワク出来ると思いますので、ぜひ見てみて下さい!

 野老さんは、「捨てたくないもの」「ゴミにならないもの」を作りたいという理念をもって表彰台を作ったそうです。1個あたり1.5㎏ほどのキューブを重ねているので、大会が終わっても各国の大使館に置く・プレゼントして残すことが可能です。国境・世代を超えた“つながり”を大事にし続けることができ、それが東京2020の「レガシー」になるのでないかと野老さんは言います。

表彰式では選手やメダルが注目されがちですが、色々知ってみると表彰台にも面白みがあることがわかるのではないでしょうか。リサイクルされたプラスチックが活躍していることにも大きな意味があると思います。表彰台にも注目しつつ、引き続き選手を応援しましょう!

インタビュー記事

東京2020表彰式 表彰台をデザインした野老朝雄さん「表彰台もレガシー。選手が立つ姿を見たいです」 (olympics.com)




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